「老人」
心を刻んだ数だけ
年輪になって
あなたの深いしわや髪になる
五十を過ぎて突然真っ白になった人の頭を見て
わたしは苦労を知った
順番に時を待っているんだ
いまだ知らない
長い道のりを歩いてきた
あなたの瞳
わたしはそのうちに知るんだろうか
どうかその先にも微笑みがありますように
それはわたしの微笑みでもあるから
秋桜が風に揺れる
もう三時になって空は曇って
コーヒーを飲もう
まだ時はあるから
わたしにも白髪が生えた
一本抜いてまた生えたら
そのときは前よりもずっと
深い瞳をしているのかな
「悲しみの男」
虚ろな目をしたその男は
もう何日も風呂に入ってない
腐臭を纏うその男の人生は
占い師がいってたことを
笑い飛ばしながら
自分を笑っていても気づかないんだな
きっと悲しくて虚しすぎて
けせらせら
けせらせら
握りこぶしの中には
小さいコイン
迷信だってしらずに
ただそれだけ
男は虚ろなまなざしを
自分に向けたことはない
知らないことが怖いんだ
けせらせら
けせらせら
暗闇が怖いから
今日は電気を消さずに寝よう
けせらせら
けせらせら
もう怒りしか自分を収めるすべはなく
「祈り」
むかし少女は白いひとだった
おひとよしの少女は
なんでもひとに奪われた
普通というのがわからずに
怒りということを理解されずに
それが社会なのかと思った
ただ祈りだけ
願うことに
生きるというものが生まれると信じて
ひととひととの間で
何度も焦げたりしながら
少女は深くなっていった
信じるという言葉の意味も
幸せになるというひとつの約束を
自分にしながら
ただ祈って
そして笑顔に変えるために
幸せを叶えるために
色とりどりの色を抱えて
ひととともに生きていく
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